ジオパークって何だろう?

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 糸魚川市内には数多くの地質学的に大事な露頭(崖)や地形があります。糸魚川市では1991年にこれらの場所を総称してジオパーク(Geopark)と呼ぶことにしました。 これは地質学(Geology)と公園(Park)を組み合わせた造語です。
 野外博物館として地質の見学がしやすいように周辺の整備、解説板の設置、ガイドブックと巡検マップの刊行などの事業をおこなっています。

 左のマークは、1991年に制定された糸魚川市のジオパークのシンボルマークです。当時は黒一色で作成されていました。
 糸魚川市のほぼ中央を南北に縦断する糸魚川―静岡構造線静岡構造線と地質調査用のハンマー、日本周辺のプレートの分布を表す地図を配置したものです。2005年の市町合併により糸魚川市の形も変わったため、ジオパークのシンボルマークのデザインも見直しが必要になってき ましたので、新たに下のようなマークが考案されました。

フォッサマグナパーク
小滝川ヒスイ峡
高浪の池
海谷渓谷
月不見の池
 
 

 
ユネスコのジオパークについて

 糸魚川市で1991年に制定したジオパークとは別に、1997年 以降、ユネスコでもジオパーク(Geopark)という言葉が使われ始めました。ユネスコの世界ジオパークでは、『地質学的重要性だけでなく、考古学的・生態学的もしくは文化的な価値もある1ないしそれ以上のサイトを含む地域であると定義しています。一方、糸魚川のジオパークは地質学や地形学に限定したもので、ユネスコでいう『サイト』が糸魚川のそれぞれのジオパークに相当します。
 糸魚川ではひすいや蛇紋岩を加工した縄文時代の長者ケ原遺跡や寺地遺跡も発掘調査され、松本街道(塩の道)は暴れ川の姫川を避けて、糸魚川−静岡構造線沿いのルートとなっており、地質学だけでなく人間とのかかわりでも大変重要な地域であると言えます。 
 日本ではまだユネスコの世界ジオパークに認定された地域はなく、糸魚川市はユネスコに先んじてジオパークという造語を使ってきたこともあり、世界ジオパークに認定されることを目標にさまざまな事業を進めていく予定です。

ユネスコの世界ジオパークについては詳しくは下記のホームページをご覧ください。

日本ジオパーク連絡協議会 http://www.geopark.jp
 

糸魚川のジオの見どころ (赤字は解説板あり)
 

青海地域 糸魚川地域 能生地域
白亜紀オーソコーツァイト含有礫岩(上路) 中新世玄武岩中の沸石(水崎) 江星山火砕岩(弁天岩)
ジュラ紀植物化石(上路) 河岸段丘礫層(西中) 江星山火砕岩(トットコ岩)
古第三紀火山岩類・飛騨山脈最北端(親不知) 中新世グリーンタフ(大野) 鮮新世火砕岩類(江星山)
蛇紋岩メランジ・青海結晶片岩(青海川上流) メノウ産地(虫川) 鮮新世砂泥互層のスランプ構造(川詰)
ひすい転石(青海川橋立) 糸魚川—静岡構造線露頭(フォッサマグナパーク) 地滑り地形(柵口)
カルスト地形(板ヶ峰) 中新世の巨大枕状溶岩(フォッサマグナパーク) 天然ガス(西飛山)
白亜紀花崗岩(勝山) 曹長岩巨礫(袴岩) 中新世砂泥互層(西飛山)
古生代サンゴ礁(黒姫山) 古生代サンゴ礁・巨大な絶壁(明星山) 鮮新世砂泥互層(筒石)
鍾乳洞(福来ヶ口) 日本初のひすい発見地(小滝川) 地滑り地形(能生小泊)
カルスト地形(マイコミ平) 中生層崩落によるせき止め湖(高浪の池)  
中新世酸性白土(須沢) ジュラ紀の植物・貝化石(大所川流域)  
新鉱物・稀産鉱物(青海川金山谷) 火山体傾動による凹地(白池)  
ひすい転石(青海川金山谷) 北アルプスの展望(ヒワ平)  
精錬所跡(青海川金山谷) マグマ混合研究発祥地(白馬乗鞍岳) 北緯37度東経138度交差点(上早川笹倉温泉北方)
橋立金山(青海川金山谷) 新潟県最高峰(小蓮華山) ナウマンゾウ臼歯産出地(大平)
エクロジャイト(上路 湯ノ谷) 日本最初の氷河地形確認地(雪倉岳) 焼山火山起源溶岩流末端(大平)
藍閃石片岩(上路 湯ノ谷) 新潟県第二位高峰と蛇紋岩メランジ(雪倉岳) 日本海側でもっとも活動的な火山(焼山)
ウェストン来訪地・ウエストン像(親不知) 中新世砂泥互層(山寺) 古生代黒色石灰岩(小滝川土倉沢)
巨大ひすい転石(親不知 翡翠ふるさと館) 鮮新世岩脈と巨大普通角閃石(雨飾山) ジュラ紀の石炭を掘った炭鉱(小滝炭鉱)
  鮮新世海底火山噴出物(海谷渓谷・三峡峠) ウェストン来訪地(蓮華温泉)
  砂丘地形(寺地〜浦本) 蓮華鉱山跡(蓮華温泉)
  第四紀火山高峰からの溶岩(中宿) 断層変形礫(食い違い石)(明星山)
  地滑り地形(月不見の池,八十八ヶ所) 焼山火山起源火砕流(焼山温泉・上早川小学校)
  焼山火山起源火砕流堆積物(土塩) 第三系の泥岩の硯石(早川上流)
  地滑り地形(猿倉) 北陸線レンガ用土壌採掘・工場跡地(大和川)
  鮮新世岩脈(鉾ヶ岳) 中新世流紋岩溶岩ドーム(頭山)
  フォッサマグナ発生期の不整合(今井・琴沢採石)  
  白亜系砂岩にできたタフォニ(小滝)  


フォッサマグナパーク

見どころ アクセス

新潟大学名誉教授・茅原一也先生(故人)のご指導により、それまで地表に露出していなかった糸魚川−静岡構造線を発掘したもので、1990年秋にオープンしました。
 1991年にこれをジオパークの第1号 としました。ここでは、糸魚川―静岡構造線、姫川層群の黒色頁岩、オリストリスである変はんれい岩、第三紀中新世に活動した玄武岩〜玄武岩質安山岩の溶岩が見学できます。
 また、1994年秋、フォッサマグナパーク内の遊歩道の整備を進めていた際にフォッサマグナミュージアムの竹之内耕学芸員により巨大な枕状溶岩が発見されました。根知川 右岸の枕状溶岩は富山大学名誉教授相馬恒雄先生により発見されていましたが、新たに発見された巨大な枕状溶岩は、従来の枕状溶岩の上部にある道路沿いにありました。いったん場所がわかってしまえば対岸からも見えるぐらいのものですが、今まで誰もその存在に気づきませんでした。発見というのはこういうものですね。

国道148号線脇フォッサマグナパーク駐車場(看板あり、糸魚川ICより松本方面へ約10分)
駐車場から断層露頭(徒歩約10分)、断層露頭より枕状溶岩へ(徒歩約10分)

糸魚川―静岡構造線  

 糸魚川―静岡構造線は糸魚川から静岡までの約300kmの長さを持ち、フォッサマグナの西縁を画する断層です。糸魚川―静岡構造線を境に、地質学上、西側を西南日本、東側を東北日本と区分することがあります。糸魚川―静岡構造線の露頭を見学できる場所は、長野県北安曇郡小谷村や山梨県南巨摩郡早川町新倉、同県 北杜市(旧武川村と旧小淵沢町)などにあります。フォサマグナパークの断層露頭へは、国道148号線の駐車場から歩いて約10分で行くことができ、みごとな断層粘土(岩盤が何回もこすれあって、粉砕されて粘土になったもの)が観察できます。断層粘土をはさんで、西側の変はんれい岩と東側の玄武岩が接しています。変はんれ岩の年代は少なくとも2億6千万年前より古い年代を示し、安山岩の年代は1600万年前を示すことから、断層で接する両側の岩石の年代差は、先に紹介した糸魚川―静岡構造線の露頭群の中で最大です。糸魚川―静岡構造線中央部(長野県・山梨県)は、活断層であり、地震が起こる可能性が高い地域として近年注目を集めています。長野県白馬村以北は、活断層の証拠がまだ見つかっていません。

枕状溶岩  

 フォッサマグナパークの枕状溶岩には、同心円状〜放射状の割れ目があり、これは溶岩が冷却する際の収縮のためにできた節理とよばれるものです。巨大な枕状溶岩には大八車の車輪のような放射状節理があります。
 日本国内で知られている大きな枕状溶岩としては国指定天然記念物になっている北海道・根室の「車石」が有名ですが、その直径は約6mですので、糸魚川の枕状溶岩がいかに大きなものかがわかります。
 巨大枕状溶岩は玄武岩という火山岩からなり、フォッサマグナがまだ海だった海底火山の噴火によってできたものと考えられます。詳しい噴出年代をカリウム−アルゴン法によって測定したところ14Ma(約1400万年前)のものであることがわかりました。約1400万年前のフォッサマグナは、水底(海底)だったことを示す証拠の一つです。
 写真は落石防止策を設ける前のもので、現在ではこのような写真を撮ることはできません。

 根知川の右岸にある枕状溶岩の露頭です。1994年11月、フォッサマグナミュージアムの竹之内学芸員がフォッサマグナパーク(市内根知)を調査中に、直径約12mもある巨大な枕状溶岩を発見しました。
 枕状溶岩とは、火山の噴火によって流れ出てきた熱い流動性のある溶岩が、海水中で急冷されてできるものです。枕を横から見た形に似ていることからこの名前があります。英語で はpillow(枕)lava(溶岩)といいます。
 しかし、枕状溶岩は通常、直径が数m以下であり、発見された「枕」の直径があまりにも大きすぎることから、円柱状の岩脈ではないか、と考える人もいます。
 写真は落石防止柵の上に乗って撮影したもので、通常はこの場所には立ち入ることはできません。



 



小滝川ひすい峡

見どころ アクセス
 昭和13年に日本で最初にひすいの産出が確認された場所で、国の天然記念物に指定されています。
 ひすいの転石群と圧倒される明星山の大岩壁が展望できます。
糸魚川ICから小滝川ヒスイ峡まで約20分。ICからR148を松本方面(約10分)、ヒスイ峡の標識を右折、標識にしたがい約10分。道路は分岐があるので、標識を注意深く見てください。小滝川に沿う道路は狭く、川側は断崖絶壁なので、対向車に注意しながら、徐行して進んでください。


ヒスイ峡の明星山大岩壁 ヒスイ峡のヒスイ転石群
 
 

ヒスイ峡の目の前には切り立った大岩壁があります。この灰色をした岩はすべて古生代石炭紀〜ペルム紀の石灰岩でできています。この大岩壁の岩石からは、サンゴやウミユリ、腕足類などの化石が豊富に産し、化石の研究からこの石灰岩体は、約3億年前のサンゴ礁の残骸であることがわかっています。また、この大岩壁は、日本最大の石灰岩の岩場として知られ、眼前に迫る壁は、ロッククライマーの間では、P6南壁と呼ばれています。P6南壁は、河原から500mの高さがあって、明星山の山頂(1189m)はさらに奥の方(北方)にあります。休日の晴れた日の岩壁は、色とりどりのシャツに身をつつんだクライマーたちで、賑わいます。

小滝川は日本で最初に発見されたヒスイ産地で、昭和13年のことでした。それまで、古代の遺跡から出土するヒスイ製品の由来は、国内産説と大陸渡来説がありましたが、この発見によって、国内産説が有望視され、昭和20年代〜昭和30年代の糸魚川市長者ヶ原遺跡の発掘によって、ヒスイの未製品や製作道具が出土するにおよび、国内産説(自給自作)が立証されました。この小滝川渓谷は、松本清張のヒスイを題材にした「万葉翡翠」の舞台になったところでもあります。小滝川ヒスイ峡は、地質、宝石、考古、文学の分野から、さまざまなスポットライトをあびている渓流といえるでしょう。ヒスイ峡は、現在、整備計画中で、残念ながら、ヒスイ転石群を間近に見学することはできませんが、展望台やヒスイ峡の小滝川護岸から川原の様子を眺望することができます。ここを訪れたみなさんからヒスイ峡の整備についてのご意見、ご希望をフォッサマグナミュージアムや糸魚川市教育委員会までお寄せいただければ幸いです。


 


高浪の池

見どころ アクセス
標高535mにある池で、明星山を眺望できる高原の池です。レストハウスの中には食堂やおみやげやがあります。キャンプ場もあります。 小滝川ヒスイ峡から、小滝川右岸の緩斜面を上る道路に沿い、車で約10分。

明星山と高浪の池

明星山をバックにした高浪の池の風景は、ドイツ南部のアルプスの石灰岩地帯を連想させます。池には体長4mに達する魚がすんでいると言われ、「浪太郎」と名付けられています。複数の目撃証言があります。池は南北300m、東西125m、周囲800mの大きさで、水深は12.8mあります。池の周囲には、コナラ、ケヤキ、ヤナギなどの雑木林があり、ホオジロ、イワツバメなどの鳥たちが生息しています。池には、コイ、ニジマス、ウグイなどの魚類、ヤマアカガエル、ツチガエルなどの両生類、オオルリボシヤンマ、エゾイトトンボなどの昆虫がすんでいます。池はすぐ近くの赤禿山の崩壊によってできた堰止め湖です。赤禿山は、中生代のジュラ紀と白亜紀の地層からできていて、植物化石が豊富に産します。大正時代〜昭和の終戦後まで、断続的に石炭が採掘されたこともあります。

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海谷渓谷

見どころ アクセス

海谷渓谷は、日本百名山の雨飾山の北に位置する海谷山塊の懐を刻んでいます。この一帯は頚城山群(山塊)と呼ばれ、「静寂」と「素朴さ」を残す数少ないありのままの自然が残されています。

糸魚川ICよりR148を経てR8へ。片側2車線の糸魚川バイパス東端の信号機を右折。次の信号を左折して海谷へ入る。


海谷渓谷・千丈ヶ岳の岩壁  
 

海谷は海川の上流にある急峻な渓谷です。河川勾配が急であるにもかかわらず、珍しく砂防えん堤が入っていません。巨大な岩壁と木々とのコントラストなど、ありのままの自然の渓谷美が楽しめ、ハイカーに人気があります。三峡峠からは千丈ヶ岳の大岩壁が目の前に見えます。この岩壁は新生代新第三紀鮮新世にフォッサマグナの海底で活動した火山から噴出した溶岩や凝灰角礫岩からできています。岩壁をよく見るとそれらの岩石が層状に重なっているのがわかります。この凝灰角礫岩は造園用としても人気があり、谷根(たんね)石と呼ばれています。



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月不見の池

見どころ アクセス
巨岩の転石が密集した神秘的な景観と池のまわりの藤の花がきれいです。 糸魚川ICよりR148を経てR8へ。R8を東へ約5k。早川橋西詰の信号機を右折。早川谷へ入る。

月不見の池と巨岩  
 

新生代新第三紀鮮新世にフォッサマグナの海底で活動した火山から噴出した溶岩や凝灰角礫岩からなる山が大規模な地すべりを起こしたためにできた小さな池です。この池には、背後の巨大な地すべり地で涵養された清らかな地下水が湧き上がっていて、その湧出量の季節変化によって、池の水位が上下します。まわりにある巨岩は、すべて地すべりによって運ばれてきたもので、露頭ではありません。藤の名所としても知られており、5月頃が見頃です。すぐ近くの「八十八ヶ所」も同じく地すべりによって運ばれてきた巨岩が累々と重なっているところです。巨岩の間の迷路のような道を一回りすると約1時間かかります。